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コロンバス旅行記29:おみやげ編

航空会社が登場前手続きをオンラインで早めに済ませとけとしつこく催促してくるようになり、ついに帰国が迫ってきたんだなと実感する。万物がそうであるように今回の滞在にも良かったところと嫌だったところがツブツブと混ざり合っていて、まだまだ居たいか早く帰りたいかという二分法では説明できない感覚だ。

バイト先には長期休暇で迷惑をかけた、というポーズを取らないと減点されるゲームの中にいるので、何かしらお土産が必要だ。しかし別に観光地でもなし、コロンバス銘菓みたいなのがあるわけでもない。souvenirで検索すると大学病院の中の花とか果物とか売ってる店かフットボールグッズの店くらいしかヒットしない。ダウンタウンに行く余裕はない。しゃーないのでいつも行ってるスーパーに行ったら、ハロウィンシーズンということもあってなのかギフトになりそうなお菓子が売っていた。だいたいチョコレートだったが、海外旅行から帰ってきてクソ甘いチョコレートを持ち帰ってくる人といういままで2兆人くらいいたであろう存在になるのは癪なので、クソ甘いクマちゃんグミを買う。

週末のホームゲームのせいなのかレジがすごく混んでいて、普段は無人レジだけで処理しているのに今日は有人のものもフル稼働していた。出国前の儀式としてビールを何本か書い、年齢確認として店員にパスポートを見せると、「大阪から来たんですね?」と聞かれる。それも日本語で!マスクのせいで相手の出身地は計り知れなかったが、極めて流暢な日本語だった。大阪は俺の出身地ということになっている(本当は俺は自分の産土がよくわからない。直接生まれたのが大阪ではないのは確かだ)。ええ、そうなんですよ。何をしに来たんですか?コミックスの研究をして最強のオタクになりに来ました。笑。

実際は読めば読むほどまだこれから読むべき資料が明らかになっていって、最強オタクへの道が遠いことを思い知るばかりだ。知るとは知るの終わりなきを知ることである……。読むことのできた最も古いヘラルドのカラー付録は1897年10月のもので、この時期にブイブイ言わせていたワールドやジャーナルのものを真似るというよりは、それより古い時期の日曜付録に近いコンテンツ、写真やファインアート寄りの絵を推していきたいという印象だった。もちろんコミックも載っている。そこから1900年にかけての紙面は所蔵状況がまだちゃんと調べられておらず飛び飛びにしか読めていないが、1900年の時点で少なくともハースト紙は既に掲載しなくなっていたシートミュージックを掲載し続けていたり、若干後追い感の漂う紙面構成であった。それでもフォクシー・グランパという大ヒット作を繰り出すことに成功するのだが、1902年初頭にハーストに引き抜かれてしまうのだ。その後アウトコールトもマッケイもハーストに取られてしまうわけで、なんか可哀想である。