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コロンバス旅行記5:お洗濯編

起きてタイ人ルームメイトとちょっと話す。大学に行くバス停を知ってるかと訊かれる。俺的には歩ける距離だから歩くよと言いたいのだがなかなか伝わらない。最終的に"Yeah, but I love walking"でそーなのかー的な感じに着地。実際歩くのは好きだ。

ライブラリへ。オッパーの伝記ファイルに手をつける。スーザンさんが前に俺とアウトコールトの話をしたのを覚えていて気を利かせてくれたのか、アウトコールトのファイルも一緒に入っていた。あわせてダンボール箱の四分の三くらい。まぁなんとかなるやろ。いろいろ読んでるとオッパーという人はハッピーフーリガンよりもまずマッキンリーとルーズベルトの風刺漫画の人として通っていたことがわかる。追悼記事にはハッピーの方が人気は集めたけど本領は風刺だよね的なことが書かれていた。ちなみにこの記事(1938年)では"comic"と"cartoon"がだいたい現代と同じような意味で区別されていた。カートゥーンの方が位が高いという認識がうかがえる。

ライブラリの昼休憩中にマクドナルドに行ってみる。事前に米国マックでの注文やりとりをググって予習済みだ。ナンバー何々のコンボとミディアムのコークをプリーズするぞ!と意気込んで入り、その通りにしたら店員にドリンクバーを指さされた。コークとかではなくそもそもドリンクはどれでも飲み放題らしい。アチャー。というかよく見たらレジより手前にでかいタッチパネルがあって、カウンターで直接やり取りしなくても注文できるようになっていた。なんと親切な。出てきたビッグマックセットは大きさも量も日本と大して変わらず、ただ値段が(円安でなくとも)ちょっと高いだけだった。

大学構内を散歩。まずとにかくでかい。芝生がめちゃくちゃ広い。工学部のものらしい建物にはでかい煙突が二本立ってて煙がモクモク出ていた。何よりアメフトのスタジアムが目立つ。駐車場も含めて普通に日本の野球ドームくらいあるんじゃないか。これが大学の一部って。もっと目立たない数学部棟は、看板の"MATHEMATICS"のMが全部消されて ATHE ATICSになっていて、なんかめっちゃ無神論者な集団みたいになっていてウケた。

帰宅して洗濯することにする。そもそも洗濯機を見つけるのに苦労した。アメリカじゃ地下にあるんすね。というか洗濯物を外に干しちゃいけないの知らなかった。景観の問題らしい。初期コミックスやアイズナーの作品とかで洗濯物が大量に干されている様子がよく描かれるが、アレって一種の堕落みたいなニュアンスがあったのだろうか。地下室はブレイキングバッドで見た雰囲気だった。こんな空間がだいたいの家にあるなんて信じられん。そりゃメスも作るわいな。アメリカ式の洗濯機と乾燥機はすべてをツマミで操作するようでなんだかよくわからんかったがググったらなんとかなった。ググれなかった時代の旅行者ってマジでやばそう。

洗濯機を回しながら一階の談話室でぼんやりしてたら見たことのない顔が入ってきた。Airbnbで最初に俺とやりとりしたフィンだ。ジーンズと指先が白いパテか何かで覆われていた。どうやらこのシェアハウスの管理は彼がしているらしかった。「オハイオ。日本のグッドモーニングだ」どういう意味だろう、地元のスラングかな……と思ってたら「オハヨウ」というダジャレだった。いいね。その後俺の隣に座って三島由紀夫の動画を流し始めた。「こいつが言ってるハガクレって何?」「江戸時代の本で、侍の精神について書かれてるらしいよ」「へえ」フィンは死に関する哲学に興味があるらしかった。まぁ会話の目的が俺に話しかける事にあったのは明らかで、しかしその優しさが嬉しかった。

エスト発生!グローサリーで酒を買え!別に特別飲みたいわけではなかったけど、旅行者が酒を買うとどうなるのか知りたかった。redditの旅行関連のサブレでたまにパスポート見せても売ってもらえなかった話(日本でもあるらしい)を目にしていたので若干不安。適当にバドワイザーを取って自動レジに並ぶ。スキャンすると「係員が参ります」(意訳)の表示。係員参る。「ID見せてください」「パスポート、OK?」「もちろん」レジに俺の誕生日が入力される。オーライ。あっさり買えた。ちなみにオハイオは日曜午前中は酒を売り買いしてはいけないらしい。