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コロンバス旅行記2:初日編

Billy Ireland Cartoon Library and Museumのリーディングルームは事前にメールでアポイントメントを取っておく必要があり、使用できる時間も1000-1200および1330-1530と短い。ガッツリやるなら朝イチで行くべきである。というわけで8時に起きる。時差ボケであんまり寝てない。あと何故かあまりお腹が空かない。グローサリーで買ったミートボールと米みたいな形のパスタとサーモンアボカド寿司はどれも微妙だった。寿司は持参したキッコーマンをかけたら途端にウマくなったので、単に味になれないだけだと思う。ともかく寿司だけ詰め込んでさっさと出発。

デイビッドによると大学までは徒歩でも行けるがちょっと遠いので自転車を貸してくれると申し出てくれた。でもGoogleによると徒歩24分くらいで、俺が毎日東大まで歩いてる距離より短いし歩くことにした。アメリカの道は全部直線で起伏がなくて圧倒される。飛行機から見下ろしたサウスダコタ州のあたりの地平線まで続く碁盤目状の農地には感動と畏怖を感じた。ともかく移動は東京のヤケクソみたいな地理よりずっと簡単ということ。碁盤目状の都市設計は古代中国に起源があるはずだが、アメリカ人たちはアジアを参照したのだろうか。

住宅街の道すがらなんどもリスを見た。東京のハトくらいのノリでそこら中にいる。サイズもハトくらいだ。リック・アンド・モーティで実はリスが地球を支配しているという話があったが、こういう日常があってこその発想だったのだなと分かる。

ドライバーの母ちゃんは大学あたりはとにかく危険だと言っていたが、そもそも皆車移動なせいで人が全然歩いていない。だから安全と言えるのか、それとも危険なのかはよくわからない。たまにすれ違う人はどう見ても大学生ばかりである。夜になるとパトカーのサイレンがそれなりの頻度で聞こえてくるが、夜出歩かなければまぁいけるんじゃねという気がする。これ自体がバイアスな可能性もあるのでなんとも言えないが。サウスパークに出てくるような黄色いスクールバスを見てちょっと興奮。

誰かに殴られたりすることなく目的地に到着。パブリックサービスコーディネーターのスーザンが出迎えてくれて、たいへん丁寧なガイドをしてくれた。とりあえず俺が何に関心を持っているのか話す。アメリカに来てから自分の英語の下手さに辟易していたが、興味のあることだと比較的簡単に単語が出てきてくれる。アウトコールトは新聞に場所を移しても絵のスタイルは雑誌の頃から大きくは変わらなかったのにオッパーはガラリと変わるの面白いと思うんすよね、みたいな。初日はボブ・ビンディグというアーティストが残したスクラップブックを読んでみる。面白いものが載っていたし人に読ませることを意識した紙面になっていたけど、マジで単にスクラップブックなので出典とかがなく研究に使うには不向きだった。オッパーがレズリーズで働き始める前はブロードウェイの近くのデパートで値札とかチケットとかに添える絵を書いてたとかそんな話が仕入れられた。

本読みしてたら日本文化研究のデイヴィス先生が日本語で話しかけてきてくれた。日本語話すの十年ぶりくらいなので下手だったらごめんねと言っていたが全く問題なくて、自分の英語のことを思ってちょっと凹む。名刺をいただく。

ランチについて訊いたらスタッフが近所のレストランやファストフードのリストをくれた。片手に近所をぶらつく。いろいろあるけど基本的に窓がマジックミラー気味になっていて店内が窺い知れない。結局見知った顔ということでサブウェイに入る。何故か6フィートという単語が出てこず店員の兄ちゃんを待たせてしまう。兄ちゃんがマイヨア?みたいなことを聞いてきてよく分からずやきもきしてたら彼が片手に持っているのがどう見ても「マヨ」だった。こういう細かい英語のミスが本当に恥ずかしい。サンドイッチは名前がよくわからんので適当にメニューの一番上にあるやつを頼んだらチーズがたくさん入ってて美味しかった。

帰りに大学近くのグローサリーに行く。アパレルから家具からなんでも売ってる大学生向けらしい場所だった。俺がアメリカで研究以外に密かに自分に貸しているミッションがいくつかあって、その一つがクソ甘いシリアルを食べながらテレビを見るというものである。ちなみに優先度最高はKFCでグレービーをしこたま舐めることだ。とりあえずシリアルから達成することに。オレオが固まってできてるらしいシリアルがあったので手に取る。シリアルの箱がどいつもこいつもデカすぎる。こんなの食べ切れるのだろうか。あとはプリングルスとかスニッカーズとか潰しが効きそうなやつを買っておく。レジはセルフサービスになっていて英語を話さなくていいのでちょっと嬉しい(それでいいのか)。でかいペットボトルの牛乳を持ち上げたらさっそく液漏れした。

時差ボケと寝不足のせいか部屋に戻ったらまだ17時なのに死ぬほど眠かった。デイヴィス先生と弁護士とデイビッドにメールを送る。寝転んだら壁にデカい穴が空いているのに気づき、覗き込んでみると隣の部屋と繋がっていた。なんか嫌なので机を移動させて塞ぐ。

ちょっと寝るかと思い目をつむったら気づけば今は深夜3時である。腹減ったけどとりあえず朝まで寝る。今日は土曜日でライブラリは閉まってるし、コミックショップとかKFCに行ってみようかな。